第17回 さつ さん(「ふしぎの城のヘレン」作者)
「ファルコンが猿扱いされることが多くなり戸惑っています」 (2013.7.27)
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赤松 | どうもー、ようこそいらっしゃいました。 |
さつ | ちょっと早かったみたいですね。 よろしくお願いします。 |
赤松 | 時間になったら始めましょう。 |
さつ | はい。 |
赤松 | ky64さんから支援絵来てますね。野生の猿がかっこよすぎるの。 これこれ。 |
さつ | おお。絶妙なキャラチョイス |
赤松 | twitterでつぶやく方はこのように、#fgivをつけると感想が共有できて良い感じです。 |
赤松 | では、そろそろ時間になりましたので、始めましょうか。 |
さつ | はい。 |
赤松 | では、改めまして。第17回あの人に聞きたい始めます。 まずはゲストの方、自己紹介をお願いいたします。 |
さつ | よろしくお願いします。 さつと申します。 ふしぎの城のヘレンが代表作といえますが、それ以前にもVIPRPGで細々作っておりました。 |
赤松 | まあ、細々と、という部分には異論のあるファンも多いかも知れません。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
さつ | はい。 |
赤松 | では、定番の「人生を変えたゲーム」、今回も選んでいただきました。4作品です。 ちょっと提案なんですが、最後の1つはちょっと後回しにした方がいいかな?と。 多分さつさんの自作戦闘に大きく関わっている気がするので。 |
赤松 | じゃあ、まずは最初の一つから紹介していこうと思います。「ケニアドッジ」。 これ、どんなルールのゲームなんですか? |
さつ | 実はルールはほぼうろ覚えなんです。 校庭を利用して、特定の領域内でボールを当てられると死亡というルールで そのルールは私が作って、自由に操作していたことだけは確かなんですが。 つまり、大体の子供がやる「校庭を利用した遊び」の一環ですね。 |
赤松 | 操作 |
さつ | 自分が得意になるルールを通したり、当時好きだった子が不利になるルールを通したりしていました。 |
赤松 | その時点でさつさんは「ルールを作る」側の人間であったと。 好きな子を見ると、ついやっちゃうんだ★ |
さつ | そうですね。遊び自体はたぶん誰でもやることだと思うんですが 「肌が黒いやつは通行禁止エリア」など作りました>ルール この暗い快感が再び目覚めるのはもっと後にはなりましたが、 今思い起こせば基点はあそこだったと思います。 |
赤松 | 当時はどんなコンピュータゲームをプレイしていたのでしょう? |
さつ | ロックマンとかやってたと思います。 ロールプレイングは長くテレビを占拠しないとできないジャンルで、 兄2人と父がゲームをやる環境ではなかなかできなかった。 |
赤松 | ロックマンも時々出てくるタイトルですね。 当時はコンピュータゲームを作りたいという欲望はありましたか? |
さつ | 作れると言う発想が無かったと思います。 RPGも見ている分には好きだったので、じゆうちょうにサイコロで遊べるドラクエのゲームみたいなのをかいた覚えはあります。 |
赤松 | ああ、ゲームブック的な。 |
さつ | 攻略本を見て描いたモンスターの絵と、出すと勝てる目が描いてあるだけだったんですけど。 そのロックマンもクリアできず、「ぼんやり遊んでるだけ」だったので その頃はゲームは「見るもの」みたいな感じでした。父とか兄がプレーしてるのを。 |
赤松 | では、コンピュータを使って何か創造する、という経験は、この2作目が原点なのでしょうか。 っ「SFCシムシティ」 |
さつ | シムシティは、特別なにかのきっかけになってると言うわけではないんですが 「ぼんやり遊ぶ」だけで楽しめる、ということでこの頃やっていたゲームの中では一番印象に残ってます。 実際は、ちゃんと遊ぼうと思うとむつかしいんですけどね。 |
赤松 | 結構キャンペーンは歯ごたえがあった記憶があります。 |
さつ | フリーモードばっかりやってましたね。メルトダウンが~とか言われてもちんぷんかんでしたし。 操作してるだけで街が立って、電車が走るのが楽しくて ここでゲームが「遊ぶもの」に変化してくれたような。 |
赤松 | 住宅地がどんどんマンションに変わっていくのは楽しかったですね。確かに。 さて、RPGはあまりプレイできなかったという話でしたが、 その中でも自分でクリアしたのはどんなゲームがありますか? |
さつ | ポケモンとか……テレビを経由しないヤツなら。 |
赤松 | なるほど、GBなら独占できますもんね。 では、この三作目に上げたゲームはどうだったのでしょうか。っ「Wiz4」(PS版) |
さつ | 高校生ぐらいになって、部活も終わって受験もしなくてよかったし、 兄も家を出てたのでいっぱいゲームやってました。そのころにやったやつです。 wiz1が面白かったので、2-3と続けてやってたんですが |
赤松 | 4はね…… |
さつ | この4が特異で印象に残ってますね。 確かにゲームとしては結構クソゲーです。笑 |
赤松 | 賛否両論の問題作ですが、ハマる人はハマるという。 |
さつ | 面白いなーと思ったのが ロールプレイングゲームの「ロールプレイング」って2種類あるな、 と言うことをこのゲームが気付かせてくれた点で |
赤松 | ほうほう。 |
さつ | 一つ目は、#1や他シリーズの、プレイヤーが役を作り、キャラクターを動かしていくタイプ。 二つ目がこの#4のもので、設定されたキャラクターを自分が演じるタイプ。 後者は、キャラクターが前面に押し出されたゲームが結構多いので、そう珍しくないのでは という気もするんですが |
赤松 | ワードナーが何者か、旧作プレイヤーは知ってるわけですからね。一種のなりきりですね。 |
さつ | そうですね。過去作との対比もあって、演じるのが楽しいゲームだったんです。 敵キャラもそれぞれ名前のある冒険者たちが出てくるのが、めちゃくちゃうれしかった。 これは「愛はさだめ、さだめは死」でそのまままねしています。 世界観を感じさせるつくりで、まさに「敵視点」を豪華に表現してたと思います。 |
赤松 | 雑魚一人一人に原則固有名がある、モブなんていない、と。 Wiz4の場合、味方が逆にモブという。 |
さつ | ザコモンスター呼ぶんですよね。 |
赤松 | PS版以前は操作ができないせいでえらく難しかったとか。<<モブモンスター |
さつ | 知らなかった。PS版も難しかったですが…… これのおかげで「愛はさだめ~」ができたと思うと、十分に影響を受けたゲームだなーと思います。 |
赤松 | さてさて、そんな感じで、高校生になってからどんどんゲームをプレイしていたさつさんですが。 フリーゲームとの出会いというと、いつ頃なのでしょうか。 |
さつ | 実は省略された中学の頃にチラッと。 |
赤松 | 当時、まだツクールもDanteの頃ですか? |
さつ | いや、2000だったと思います。「不協和音のレクイエム」をやった覚えがある。 |
赤松 | ああー名作! |
さつ | コンパクのゲームをいろいろやって「なんか作りたい!」とか思ったりしたんですが エターなって消えていきました 「海賊高校生」が一番印象に残ってますね。 |
赤松 | じゃあ、最初はコンパク目指してツクール2000を買ったのですか? |
さつ | 特に着地点は考えていませんでしたが、「ここにあるようなゲームが作れればいいなあ」と思っていました。 テキストのうちこみが家庭用より楽だし、作ればいろんな人に遊んでもらえそうだと思っていました。 |
赤松 | その前から、家庭用ツクールとかも触っていたようですが。 |
さつ | はい。最初は家庭用(3)の力作をコピーしようとするところから始めました。 その途中にやったフリーゲームに影響を受け、いつしか元の作品とはかけはなれたゲームが できあがりませんでした。 |
赤松 | PS版ですね。田中太郎とかも? |
さつ | 実は田中たろうでRPGツクールGB2は持っていません。 |
赤松 | 重大発言ktkr そして、作ってはエターなりを繰り返しているうちにコンパクも終わってしまって。 |
さつ | 作っている間にコンパクが終わり自然とモチベーションが消失したのかもしれません。 |
赤松 | その後、ツクスレに辿り着く前はどんなことをやってましたか? |
さつ | なにもやっていなかったような。 思い出したようにフリーゲームを遊ぶことはありましたけど。 |
赤松 | 絵とか、音楽とか文章とか、創作に関わっていたと言うことも特になかった? |
さつ | ぜんぜんないですねえ。はつらつ高校生活をやってしまってたような。 |
赤松 | 素晴らしい。 それがどう間違ってVIPツクスレに辿り着いてしまったのでしょうか!? |
さつ | その終わりと共に大量のゲームとVIPRPGが流れ込んできてしまったのです。 きっかけはなんだったんだろう。 |
赤松 | あ、部活をやめてからですか? |
さつ | そうですね。 実は、兄のうちひとりもVIPRPG作者なんですが 兄が見つけたか、私が見つけたか、どっちか覚えてないんですがいつの間にやら感染してたような。 |
赤松 | 当時……西暦で言うといつ頃でしょう? どんな感じだったんですかツクスレって? |
さつ | ああ、第一回紅白で知ったんだ。確か。だから2005~2006だと思います。 今よりもっとカオスでした。 |
赤松 | 2005年6月がもしも第一作、だいたいその前後の時代ですか…… |
さつ | 夏以降ですねおそらく。 |
赤松 | ところでさつさんのツクスレデビュー作ってMOSHIMO A LIVEでいいんですよね? |
さつ | たぶんそうですね。 そのころ漁ったゲームにLIVEALIVEがあって。 で、当時のツクスレは確かライブアライブネタが隆盛だったんです。 |
さつ | いや、違うかな。 LIVEALIVEネタが隆盛していて、そのうち「NIN×NIN」というゲームが面白かったので 私もLIVEALIVEをプレイしたのかな。 (NIN×NINはいいゲームなのでここでおすすめしておきます) |
赤松 | で、タイムスタンプ的には 2005.8.27 と書いてありました。 |
さつ | ああ……そんなに古いのか…… |
赤松 | 今までの話を総合すると、制作期間は非常に短かったはずですね。 |
さつ | 根気が長続きしないので、フラフラ作ってはやめてという感じだったと思います。 |
赤松 | 基本見るゲーなんですがしかしまあ、エラい作り込みようで。メニュー画面とか。 |
さつ | 自作戦闘に挑戦したことはあったのでそこは楽でした。(完成させたことはありませんでしたが) |
赤松 | 当時はどんな評価だったのでしょう? |
さつ | wiki入りしているところを見るとまずまずだったと思います。 |
赤松 | あんまり覚えてないですか、当時のことは。 |
さつ | ただ、その感想がダイレクトかつ素早く得られるところが性にあったのは覚えてますね。 これはVIPRPGの凄く強い部分だと思います。 どんなものを出してもパッと感想がかえってくるって言う。 |
赤松 | 確かに。感想書くのって勇気が要るものなんですよ。 非常にレスポンスがいいですよね。 |
さつ | そうですね。コメントする側も気楽なので。 |
赤松 | それからもうそれから8年も経ちました。いろんな事もあったと思います。 |
さつ | あああ……8年…… |
赤松 | 「愛はさだめ、さだめは死」のあたりでも、もうツクスレでなくてもいいんじゃないか、という感想もあったりして。 |
さつ | ありましたね。ちらほら。 |
赤松 | >>5さんも、なぜツクスレなのか、という疑問を呈するような具合なのですが。 今のさつさんにとって、VIPツクスレってどんな場所なんでしょう? |
さつ | こういうとイメージは悪いんですが 実験室。 |
赤松 | うんうん。 |
さつ | レスポンスがいいので、失敗作を作っても得られるものが多いです。 |
赤松 | それをある程度許容する環境もありますしね。 |
さつ | VECTORなどで作品を公開すると、よく出来ていれば口コミで広がりますが そうでないと、ただ沈没していってしまいますよね。 |
赤松 | 運悪く誰にもプレイされない、ということもあります。 |
さつ | とりあえず作ったものを投下すれば、実験結果が得られると言う意味で 「実験室」というイメージが近いと思います。 |
赤松 | VIPツクスレなら、一人くらいはなんか言ってくれそう、というのは心強いですよね。 |
さつ | 一切のレスポンスがないものはたぶん存在しないんじゃないかな。 これは地味にすごいです。 自動保管庫(VIPRPGスレッドに投下されたゲームを自動的に補完するサイト)を見てもらえればわかるんですが 大体2~10くらいの感想がついてるんですね |
赤松 | さつさん個人として、一時期VIPツクスレから離れていた時期もあったようですが、 今後もVIPツクスレで活動していくつもりでしょうか? |
さつ | 投下する作品もあれば、おそらくそうしないであろう作品もあります。完成すればの話ですけど。 |
赤松 | 一つのチャンネルとして、という感じでしょうかね。 別に帰属せねばならぬ、と言うものでもないはずだし。 |
さつ | 作者が所属する場ではなく作品が所属する場だと思います。 |
赤松 | ですよね。 |
さつ | VIPツクラーたるもの~みたいな文言はまず見られないと思います…… |
赤松 | VIPゲーたるもの~というのは、若干、ある、かもしれない。 |
さつ | 逆に外部からはどういう感じなんでしょうねえ。 私は気付けば8年もこもってしまい、その辺の感覚がわからなくなった。 |
赤松 | ボクは実際の所行ったことは無いのですよー。過去ログとかを若干読んだ程度で。 |
さつ | インフラが整っていて、スレッドを見なくてもゲームだけプレイできますしね……。 |
赤松 | プレイだけして感想も投げない、ということが可能になってますね。 |
さつ | そうですねえ。そこだけがちょっともったいない。 祭りサイト(一定期間ごとに開設する特設サイト)だと、時間がたっても感想がつけやすいようになっていて 今から遊んでも作者さんにコメントがつたわるので、ぜひコメントしていってください。(宣伝) |
赤松 | そうですね。VIPツクスレの身内臭が嫌いという人も、感想くらいは残してみてはいかがでしょう。 VIPツクスレの空気が好きな方は、どうぞ、スレにも来て。 |
さつ | 数年前の感想掲示板でも定期的に見にいく人は多いらしいですよ。 |
赤松 | ではでは、そろそろ「ふしぎの城のヘレン」の話に入っていこうと思います。 |
さつ | はい。 |
赤松 | 他の方がやったインタビューもあるので、読んでない方はご参考までに。 |
さつ | ポーンさんのファンの方もどうぞ。 |
赤松 | ボクはちょっと、ここでは触れてないようなことに切り込んでいこうかと思います。 まず気になるのが、制作期間ですね。制作を本格的に始めたのはいつからなのでしょうか。 |
さつ | 締め切りが12/25で着手は8月だったので、実質的には4ヶ月程度になります。 あ、画像(敵キャラのアニメ)などは前もって作っていたので、純粋にプロジェクト自体の工期が4ヶ月ですね。 |
赤松 | 最初からターゲットは2011紅白だった、ということですね? |
さつ | 間に合えばいいなあ程度に考えていましたが、間に合わなければvectorなどで投下していたかもしれません。 しかしやっぱりVIPRPGで結果を確かめたいというのはあったので、前提としていたのは確かですね。 |
赤松 | なるほど……VIPツクスレでなくても公開できるタイプの作品になっているのは、 そういうことも考えてのことだったのですね。 全体的にはVIPツクスレの影響色濃い作品ですが。 |
さつ | はい。 外部で公開することを考えなくても、「VIPRPGを知らない人でも遊べるものにしよう」とは決めていました。 とにかく「誰でも遊べるものにしよう」と考えていた、と思う。 |
赤松 | さて、前出のインタビューを見ると、まず戦闘システムから作り始めた、と考えていいですか? |
さつ | そうですね。戦闘システムから先に作っています。 |
赤松 | で、今回のインタビューにあわせて、さつさんが今まで作った自作戦闘のゲームを4つプレイしたんです。 |
さつ | 完成品が4つもあったかな…… |
赤松 | 「鳥取砂丘より愛を込めて」「RPGをつくろう!」「愛はさだめ、さだめは死」そしてヘレンですね。 |
さつ | あ、ありました。 |
赤松 | 感じたのは、一貫してるところがあるのかな、と。 |
さつ | RPGをつくろうだけ少し外れていますね。その中だと。少しと言うかだいぶ。 |
赤松 | まあ、大技を入れるには時間がかかる、その時間を稼ぐためには……という考え方とか、 小技でチクチク牽制して大技を潰す……という考え方とか。 |
さつ | そうですね。その源流についてはそろそろあれに触れなければならないかもしれません。 |
赤松 | はい。この作品を想定できた人がいるだろうか。 「KING OF FIGHTERS 京」!! サムライディーパー京とはちょっと違うのだよ。 |
さつ | キングオブファイターズシリーズ自体は有名タイトルだと思うのですが…… |
赤松 | 買ったら大爆発の地雷ゲーだぜ! |
さつ | 一般的には「黒歴史」のようですね…… |
赤松 | ジャンルはアドベンチャー、でいいのだろうか…… |
さつ | 「キャラゲー」でもいいかも。 |
赤松 | カオスなシナリオ相手なら、覇王翔吼拳を連射せざるを得ない! |
さつ | 「KOF」シリーズのキャラクターとイベントをこなして、チームを結成してKOFに出るゲームですね。 |
赤松 | で、なぜこの場でその、アレゲーが話題に出るのかと申しますと。 |
さつ | はい。戦闘が独特だったんですこのゲーム。 格闘ゲームをターン化したようなシステムで。 |
赤松 | もうみんなが叩いてるこの戦闘システム! 曰く、「コレさえなければ普通のキャラゲーとしてまだ楽しめるのに」!! 初見だとわけわかんないんですよね。 |
さつ | そうですねえ。みている方にカンタンに説明するなら、 「技を決定して同時に公開→当たり判定の強いほうの技が成立」というものです。 弱キックなどは威力は弱いですが判定が強く、大技を潰せるというわけです。 そうさせないために距離などを調整して、なんとか大技を決められるように持っていくんですが。 ターン化しても格闘ゲームのそういった性質が失われておらず、 かつ私みたいなアクション下手でも遊べるのが凄く嬉しかったんです。 戦闘システム評判悪いんですね~。楽しいのに…… |
赤松 | POWためをしないと大技や超必殺は出せない、 でもため中は一方的にやられてしまうから相手のガードを読んで……とか。 |
さつ | そうですそうです。 |
赤松 | ほんと、さつさんの自作戦闘の源流と言える、ロストピースだったんですよこの作品。 |
さつ | たしかゲームアーカイブスで600円で買えたはずなので、 KOFのキャラゲーが遊びたい方はやってみてもいいのでは。 |
赤松 | でも、さつさんが「鳥取砂丘」で初めてこれを意識した自作戦闘を導入した結果は…… |
さつ | 散々でした。 |
赤松 | アレは辛いよ……プレイヤーとしては…… |
さつ | とりあえず、システム自体の難点に触れる以前に 「難易度が高すぎる」……公開直後の感想はこれに埋め尽くされました…… |
赤松 | 相手が速すぎて、小技すら挟めない場合ががが。 |
さつ | 先述した兄一人をテストプレイヤーに据えて 「これじゃぬるすぎない?」「でももうちょっとぬるくしよっか」としてなおあれなんです。 「デバッガーは次第に慣れ、麻痺していく」 大事なことを教えてくれたゲームでした……鳥取砂丘。 |
赤松 | 温度差ですよね、作者とプレイヤー側の。 「愛はさだめ、さだめは死」まで来ると、だいぶ洗練されたように思います。 それをさらに洗練させたい、というのは、どうしてだったのでしょう。 |
さつ | この一貫の流れを自分で疑ったのだと思います。 |
さつ | もちろん感想レス数が全てではないですが、たしか「愛はさだめ」を公開した祭りサイトでは ヴァルキリープロファイルの戦闘を搭載した長編作品が公開されてて、これが大変盛況でした。 それもあって、「エゴの魔術師」というゲームを作っているときに 「本当に愛はさだめ~の後継みたいな作品でいいのか」と、疑ってしまい 戦闘システムのみを洗練して、これで「実験」してみようと思いました。たしか。 |
赤松 | 本当にヘレンは戦闘システムのために作られた作品だった、ということですね……。 |
さつ | そうですね。ゲームシステムはシナリオと関係していて欲しいと今では思っているのですが、 ヘレンに関してはそれがほぼないです。 |
赤松 | 別に主役がヘレンでなくても良かった、と。 |
さつ | はい。野生の猿でもよかったのです。 ヘレンが主人公になったのはかわいいから。 |
赤松 | 今までVIPツクスレでさんざん汚れ役をやってきてますが、さつさんはヘレンの扱いが良いですよね。 他のキャラも、必ずしもツクスレの流れどおりのキャラ付けではないような。 |
さつ | キャラの扱い方は人次第なところがありますからねえ。 ヘレン以降、ファルコンが猿扱いされることが多くなり戸惑っています。 それでも全体的なキャラ付けは確実に影響を受けてますねえ。 |
赤松 | 魔王四天王の人選はどうだったんですか? |
さつ | 先述の通りモンスターグラフィックのほうが先にできていたので、それに合わす様に適当に選びました。 |
赤松 | それはつまり、「エゴの魔術師」用の? |
さつ | いや、それ以外にもエターなったゲームがありまして。それ用の。 |
赤松 | では、ずいぶん昔から描きためてたドットなのですね。 |
さつ | はい。それで、ヴァンパイア、ブラックナイト、死神、ワイバーンと言うなんかよくわからないチョイスです。 |
赤松 | 具体的に言うと、どのくらい前からのドットが入ってますか? |
さつ | 調べてみます。 |
赤松 | お手数おかけします。 |
さつ | Twitpicにアップしたワイバーンが 1237 days ago と表示がありました。 初期にブラックナイトとかを描いてたので、実際はもうちょっと前になると思います。 |
赤松 | えーと? 1237 / 365? |
さつ | 大体4年前くらい。ヘレン製作開始を考えると2年半くらい前ですね。 |
赤松 | 3年前……というと、足かけ2年くらいか。今から1年半前だから。 |
さつ | 最初はゲームに使うことを考えずに適当に描き始めたような。 たまには私もコミュニティの役に立つ素材とか作るか、と思って。 |
赤松 | 「ヘレン」用に描き足したドットってありますか? |
さつ | 戦闘グラフィックに関してなら、ミミックとラスボス、なにこれぐらいだと思います。 モーションは必要に応じて追加しましたけど、新規に作ったのはこれくらい。 |
赤松 | なにこれは素晴らしい出来でした、ええ。 |
さつ | 2003顔グラをシリアスな笑いに使うのも連綿と受け継がれてきたVIPRPGの芸風だと思います。 |
赤松 | では、制作中、迷った/悩んだことについて。 |
さつ | シナリオに関して最後まで悩んでいました。 今考えると設定の細かい部分でわりとどうでもいいんですが、 それぐらいしか製作中に悩んだことはなかったです。 敢えて言えば、第二階層を作るのが大変でした。 |
赤松 | ナイさんのフロアですね。 |
さつ | はい。 |
赤松 | すごく凝ってて歩いて楽しいステージでした。 |
さつ | 最初の階層は「チュートリアル」次が「応用、敵AIの利用」と言う風にコンセプトがあって 魔王のフロアが「変化球」、で、第二階層はなんもなかったんです。 |
赤松 | 確かに、魔王戦まではやらせたいことがハッキリ伝わる作りでしたね。 |
さつ | 実際にはあそこで新しいテク、戦略を発見すると言うことはほぼなかったんじゃないでしょうか。 プレイしていて退屈なのではないかと思った。 やむを得ずマップを凝る事で誤魔化そうとしたわけです。 |
赤松 | 逆に、押しつけがましさを感じないって印象をボクは受けましたかねえ。 猿を完封できたときは嬉しかった。 |
さつ | やれることを自由にできるので、杞憂だったかもしれないですね。 猿は人気が高いです。 |
赤松 | AIがね、クセが強いので。 |
さつ | 先のNYD Gamerさんのインタビューでも言ったと思うんですが テストプレイヤーに対応して敵キャラを作っていたので、ああいったものになりました。 「俺つええ!」をやっているプレイヤーにいやがらせするという。 |
赤松 | そういう、AIの個性も各敵キャラクターと対応していて面白かったですね。 どのキャラにどのAI、というのはどうやって決めましたか? |
さつ | 各モンスターごとに語っていかねばならないと思います。 が、各階層に3~5種類、一匹は「基準」になるオーソドックスな性能とAIを持ったモンスターを作る、というのは簡単に決めていました。 ハーピー、リザードマン、NBK、ホムンクルスなどがそれ。 |
赤松 | あー、では例えばで、猿さんに。 |
さつ | 猿は「ファルコン」というキャラクターあっての設定だったと思います。 まずAIがあって、先のいやらしい敵、というコンセプトができて それに合致する中で、グラフィックが出来上がっているのがファルコンでした。 |
赤松 | エンリュウ先生は犠牲になったのだ…… |
さつ | ファルコンもツクール2000データベースに存在するキャラですが、 他の追随を許さない弱さで(一部に)人気のキャラクターです。 |
赤松 | 「鳥取砂丘」の主人公だったりもしました。 |
さつ | 鳥取砂丘からのファルコン弄りが高じて、「野生の猿」という悲しい怪物ができあがってしまったのです。 |
赤松 | そのうち色が黒いキャラは通れないゾーンとか作って…… |
さつ | 急に話が殺伐としてくる第二階層にあって、いい感じに清涼剤になったと思います |
赤松 | では、特に迷い無く、思うように作れたという「ヘレン」の公開後について。 公開後、デバッグ中でも出てこなかったような発想ってありましたか? プレイスタイルとか、ストーリーの受け取り方とか。 |
さつ | 鳥取砂丘の反省からデバッグはかなり念入りにやっていて、一本道なこともあり、 かなり多くのプレイスタイルを想定していたので、縛りなども凡そは想定内できていました。 ただ、「麻痺の間」の仕掛けの解放が、想定したものと違う方が圧倒的多数だったのが 一番おどろきましたね。 |
赤松 | 当初はどんな想定だったんですか? |
さつ | 麻痺した敵をスイッチに乗せるのが正攻法なんですが、うまく誘導して載せる人が多かった。 |
赤松 | みなさん器用だなぁ…… |
さつ | スタッフロールに出てくるデバッガーのうち一人はそれをやってて、 「こうやってもできるよ!試してみよう」とか言ってたんですが 誘導派はかなり多かったみたいですね。 |
赤松 | ボクは正攻法でした。誘導はメンドイやってなって。 |
さつ | 麻痺ビームが敵に有効、って気付かなかったという人が多かったですね。 あと、麻痺ビームの出る条件などを理解するのが難しかったみたいで。 テストプレイヤーの少ない母数のうちで少数でも、全体で少数とは限らないなあと痛感しました。 |
赤松 | では、逆に言えば今の反応は、おおむね想定通りしめしめって感じなのでしょうかね。 |
さつ | あと、今度はちょっとぬるすぎたのかなとも思います。 勇者などは「弱すぎ」ってコメントがちらほらあった。ハマる人はかなり苦戦するんですが。 |
赤松 | 確かに、7階層くらいでだれたという感想もちらほらと。ボクも若干。 |
さつ | どんな装備でもなんとかクリアできるようにしよう、としたんですが。 いろんな構成で通るようにした結果ガバガバになってしまったのかもしれません。 |
赤松 | 第2階層で使った戦法がわりとそのまま通用するところもありましたね。 |
さつ | あと、そのコメントの中にはロングソード愛好者もいそうです。 ああ、ロングソードSSを自主的に縛れるプレイヤーが多かったのも、これは嬉しい誤算でしたね。 |
赤松 | 伝説のロングソードですね……一種の救済策、と捉えた人は多いと思います。 |
さつ | 「水はひび割れを見つける」っていう、抜け穴があるとみんなそれを利用してバランスが崩壊してしまう、 っていう記事があって、それが説得力がありショックだったんですが |
赤松 | 格ゲーの隠しボス使用コマンドみたいな話ですね。 |
さつ | あるいはそうでもないのではないか、という嬉しい誤算でした。 現状で楽しめる限り、プレイヤーはそのバランスを破壊するものを望まない、と今では信じられる。 |
赤松 | 「いくらなんでもさ、NEO-DIO使うのはやめとこうよ」みたいな。一種の身内ルール感覚かも。 |
さつ | ですかねえ。もうちょっと絶妙な強さなら使われてたかしら。 |
赤松 | ま、ロングソードSSは最強というわけでもない……かなり最強に近いですけど。 |
さつ | ロングソードだけで勝てるかと言われるとそうではないんですけどね。 |
赤松 | さてさて。しかし、とうとう海外進出の話まできて、 「誰でも遊べるゲーム」という当初の目的はほとんど達成されたように思います。 今ふりかえって、さつさん自身は「ヘレン」をどう感じてますか? |
さつ | ヘレンで試みたことが概ね成功したので、「成功例」というイメージが強いです。 今までは公開後、悪い反響からフィードバックを得て次に生かす大後悔日誌だったのですが この試みは成功しましたよ、という結果が多く、海外進出の話なども含めて自信に繋がったと思います。 次作にはまだ繋がっていませんが…… |
赤松 | 実のところ、個人的には海外進出より、ポーンさんが、 さらには嫉妬に狂ったじすさんまで釣れたという方がインパクト大きいですが。 |
さつ | ポーンさんのあれも衝撃的でしたね。 じすさんは、想定外すぎる。 対人はやれそうだなと思いながらも実現できなかったので、あの企画は楽しかったです。 |
赤松 | やはりKOF京は間違ってなかった! 方向性としては! (敬礼) |
さつ | みなさんKOF京をやりましょう。 |
赤松 | では、そろそろ皆さんからの質問に答えていただきたいと思います。 |
さつ | はい。 |
赤松 | 最近お持ち帰りが恒例になってしまって申し訳ないので、 いくつかピックアップして、この場で答えていただければと。 |
さつ | 順にやっていきますか? |
赤松 | ちょっと時間的に厳しいので、ボクから指定する形でいいですか? |
さつ | あ、はい。 |
赤松 | >>3さんの中からこれ、 「尊敬する人物は居ますか」? |
さつ | 難しいなあ。 |
赤松 | パスしてあとで回答もありです! |
さつ | >>3はT氏さんからの質問ですね。 彼はたぶん身内なので 「テンションさん(このこたえはウソ。)」 を回答としておきます。 |
赤松 | ひどww では>>16さん 「さつさんがツクールで製作する際に、よく使用する製作補助・支援ツールはありますか? (ツクールブリッジ以外で) 」 ツクールブリッジ……最近は便利なモノがあるんだねい。 |
さつ | とにかくグラフィックを弄る(自作とまではいかなくとも)ことが多いので、EDGEは欠かせないですね。 あと、これは2000作者さんはみんな使ってると思うんですが、マイウインドウ。 |
赤松 | たかぼーさんには足向けて眠れませんよ…… |
さつ | 自作システムにつかう文字は全部ピクチャで弄る必要がありますからねえ。 ハングル翻訳していただいた際にはここが鬼門だったようです |
赤松 | では>>18さんと>>19さんまとめて。 「モチベーションの維持について知りたいです」 「ヘレンはどのようなペースで制作したのでしょうか」 |
さつ | モチベーションの維持についてはわたしが聞きたいですが…… 完成した中篇である愛はさだめ~もヘレン~も思いついて比較的短期間で完成させたので モチベーションを維持するのが不可能なら、維持できるうちに完成させるのがいいのではないでしょうか。 それができれば誰も苦労しないかもしれませんが……。 |
赤松 | どんな人でも、エターナる率が跳ね上がる、ある一定ラインがあるらしいですよ。 まずは完成させろ、というのも言い古された話ですよね。 |
さつ | そうですねえ。 話はちょっとそれますが、単発志向のVIPはそういう意味でも復帰・導入にいいかと。 レスポンスの速度・量もモチベーションにつながりますしね。 |
赤松 | では、だいたい以上ということで。残りはまた、後日お持ち帰りでお願いできますか? |
さつ | わかりました。 |
赤松 | では、ログをまとめるときくらいに公開する感じで。よろしくお願いします。 ではでは、そろそろ将来の話をしつつまとめていこうかと思います。 |
さつ | はい。 |
赤松 | 質問スレにも、次回作への期待の声がいくつも来てますが、次回作の予定は? |
さつ | 質問のほうにも来てますし、私自身も作りたい「エゴの魔術師」を作っていきたいとは思っています。 |
赤松 | おお。「愛はさだめ」の後継作という? |
さつ | そうですね。ただ、ツールは2000以外を使いたいと思ってますし、それならそれで習作を作ると思うので 次にパッと公開、ということにはならないと思います。課題も多いですし。 |
赤松 | VXとか、ウディタとかですか? |
さつ | そうですね。まずはそれの決定から。 ツクスレに投下するためのゲームを片手間で作っているので、これはそのうち発表したいと思います。 |
赤松 | では、その次回作も含めて、さつさんは今後、どんな作品を作っていきたいと思ってますか? やはり「みんなが遊べる」という方向ですか? |
さつ | ヘレンの目的は「広く」だったので 「広く深く」を目指していきたいと思います。 |
赤松 | 究極の課題ですよね……深くすると、ついてこられない人も出てくる危険性が増える。 |
さつ | そうですね。フリーゲームはやっぱり「深く」が魅力な部分が大きいと思うので それができればなあ、と。ぼんやり。 |
赤松 | それでは、いよいよ最後の質問となります。 あなたにとって、フリーゲームとは? |
さつ | やっぱりゲームを作るのは、組み立てた理論が正か否か、公開するまでわからないのが面白い。 ので、やっぱり「実験室」です |
赤松 | できれば今後とも、さつさんプレイヤー双方にとって幸せな結果が得られるよう祈ってます。 今回のゲスト、さつさんでした。どうもありがとうございました! |
さつ | ありがとうございました。 そして次回のゲストとは?すごくビッグネームですか? |
赤松 | ふふふ……しかしさつさんはご存知かどうか。すごく古いネームですが。 「TDQ」。 |
さつ | ドラゴンオエスト! |
赤松 | TDQシリーズの作者、田圃さんとコンタクトが取れました! |
さつ | おー。 |
赤松 | 個人的にも非常に思い出深い作品ですねー。 |
さつ | これは次回はギャラリーとして拝見させていただきます。 |
赤松 | 1991年、今から20年以上前に制作された、同人RPG黎明期を彩る傑作! その精神、ドラクエクローンの域を超え、今でも通用すると思います。機会があったら是非プレイを! 何分昔の話ということもあり、メールで思い出しながら書きたいとのご要望でした。 なので次回はメール形式です。 |
さつ | ギャラリー不可だった。 |
赤松 | 何回かに分けて連載するのでどうぞ、みなさんもその都度疑問・質問を送って下さい! できる限り早く質問応募、あとキャラクター人気投票も開始しますのでよろしくお願いします。 |
赤松 | それでは、ちょっと日付をまたぎましたが、お付き合いありがとうございました。>さつさん |
さつ | こちらこそ、ありがとうございました。 |
赤松 | みなさんもありがとうございました。それではグンナイ☆ |